酷暑の日枕と捜す昼寝場所

播けば食う鳩と競りあう小豆播き

春耕に八十五才の生命燃え

野の昼餉空に鳶が舞うて番

流行服買うても顔は替えられぬ

若く見えると言えば化粧が厚くなり

家で待つ親がどきどき娘のデート

じゃんぼ籤外れ師走の灰残る

苦瓜を食って長寿の夢を追

一抜けの児は待つ母の手にすがり

病床も心も暗し梅雨に病む

経過よし告げるドクター笑み軽く

涙腺の堅さゆるめた山葵漬

手を出して又引込める痩せ蕨

吟行の鞄の中にワンカップ

探梅のさそいに散らす衣装箱

一言で受けて男の顔がたち

正月だと言って銚子の数が増え

飴しゃぶり晴着きて居る七五三

花の束差し上げて乗る混んだバス

出来ちゃった婚男嫌いのはずだった

右左首をひねって検見けみの集

写真撮る嫗の頬に紅うすく

待った雨三日続けば又雨が

猫よりはましな児を背に畦に佇ち

遅刻して枕時計のせいにする

 登 作品集